top of page

嵐山、そして水のある風景

2024年3月1日〔金〕- 7月15日〔月・祝〕

京都市西部に位置する嵐山一帯は、風光明媚な観光地として親しまれています。かつては丹波の材木を京の都に運ぶ筏流しが桂川で見られ、嵐山の自然と人との四季折々の姿は、多くの画家を魅了しました。今回の展覧会では、サイトウミュージアムのコレクションの中から嵐山を取材した日本画や洋画作品をご紹介しました。京都市立絵画専門学校で後進の指導をしながら嵐山に住み四季折々の姿を描いた川村曼舟(まんしゅう)や、近年各地で回顧展が開催され再評価がなされている木島桜谷(このしまおうこく)の詩情漂う作品、あるいはやまと絵の手法を取り入れリズミカルな構成で生命の喜びを表現した池田遙邨(ようそん)などを一堂に会したことで、嵐山が景観だけでなく培われた歴史や文化が絵画表現に寄与していることを見てとることができました。
また、嵐峡の情景にちなんで、海や湖などを描いた風景画を合わせて展示しました。暮らしに欠かせない水と人との関係が織りなす風景、季節や天候、時間によってさまざまな変化を見せる水の表情は、無常と永遠とを同時に感じさせる魅力の尽きない題材で、それぞれの画家の異なる感性に基づいた表現を堪能いただきました。
さらに、今回は子ども向けワークシートを作成し、嵐山の歴史や描かれた人物のみせる表情から絵画の中の物語を想像する楽しさに触れる試みを行いました。

■会期中のイベント(いずれも参加無料ですが、入館に際してチケットが必要です)

◎学藝員によるミュージアム・トーク
2024年3月10日(日)
2024年5月4日(土)
いずれも午後2時から約30分

◎学藝員による絵画のお話スライド・トーク
展示室にて絵画のよもやま話に花を咲かせます。毎回異なる内容となります。
2024年4月14日(日) 第7回 水を描いた名作選
2024年6月8日(土) 第8回 絵画材料学 顔料と接着剤          

関連記事等
1.新聞
・「嵐山の風景や水辺の絵画ずらり」中日新聞(三重版) 2024年3月5日
・「嵐山と水の風景に挑戦 三重・松阪のサイトウミュージアムが企画展」夕刊三重 2024年4月5日
・(中日新聞)2024年2月27日 田中善明「川村曼舟『嵐山春雨』まちなかで絵と遊ぶ76」
・(中日新聞)3月5日 田中善明「小島善太郎『嵐山千鳥ヶ淵』(まちなかで絵と遊ぶ77)」
・(中日新聞)3月12日 田中善明「池田遙邨『嵐山渡月橋』(まちなかで絵と遊ぶ78)」
・(中日新聞)3月19日 田中善明「笠木治郎吉『漁師の娘』(まちなかで絵と遊ぶ79)」
・(中日新聞)3月26日 田中善明「山口華楊『嵐山春色』(まちなかで絵と遊ぶ80)」
・(中日新聞)4月2日 田中善明「山本芳翠『風景』(まちなかで絵と遊ぶ81)」
・(中日新聞)4月9日 田中善明「山内愚僊『洛西早春』(まちなかで絵と遊ぶ82)」
・(中日新聞)4月16日 田中善明「木島桜谷『嵐山』(まちなかで絵と遊ぶ83)」
・(中日新聞)4月23日 田中善明「中澤弘光『嵐峡』(まちなかで絵と遊ぶ84)」
・(中日新聞)5月14日 田中善明「伊原宇三郎『香港』(まちなかで絵と遊ぶ85)」
・(中日新聞)5月21日 田中善明「鈴木良三『モレーの水辺』(まちなかで絵と遊ぶ86)」
・(中日新聞)5月28日 田中善明「河合新蔵『台湾淡水港』(まちなかで絵と遊ぶ87)」
・(中日新聞)6月4日 田中善明「和田英作『甲州山中湖』(まちなかで絵と遊ぶ88)」
・(中日新聞)6月11日 田中善明「ジュール・デュプレ『リラダン近くの沼地の牛』(まちなかで絵と遊ぶ89)」
・(中日新聞)6月18日 田中善明「山下新太郎『嵐山』(まちなかで絵と遊ぶ90)」
・(中日新聞)6月25日 田中善明「井手誠一『春をよぶ海鳥 佐渡』(まちなかで絵と遊ぶ91)」
・(中日新聞)7月2日 田中善明「白瀧幾之助『テームズ川の朝霧』(まちなかで絵と遊ぶ92)」
・(中日新聞)7月9日 田中善明「村上肥出夫『ベニス』(まちなかで絵と遊ぶ93)」
・(夕刊三重)3月2日 田中善明「掛け軸の楽しみ(学芸員による絵画のはなし33)」
・(夕刊三重)4月6日 田中善明「水を描く(学芸員による絵画のはなし34)」
・(夕刊三重)5月11日 田中善明「絵画に動きをつける(学芸員による絵画のはなし35)」
・(夕刊三重)6月1日 田中善明「できるところからはじめる(学芸員による絵画のはなし36)」
・(夕刊三重)7月6日 田中善明「構図を見ると(学芸員による絵画のはなし37)」

bottom of page