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題名の無い絵画展 2024

2024年7月26日〔金〕-10月27日〔日〕

 サイトウミュージアムは2022年5月6日に開館しました。以来、風景画や静物画、さらには作家同士の交流関係をとりあげるなど、テーマに沿った企画展示を行ってまいりました。今回の展覧会は、そうしたテーマ展示からはいったん離れ、当館館長である齋藤洋一が現代部門の作品を選定、学藝員が近代部門の作品を選定し、作者名と作品名を掲示しないという、初の展示を試みました。
 この展覧会には二つの願いがありました。そのひとつが、来館者の方々に先入観なくご自身の基準に従って鑑賞を楽しんでいただくことです。当館では作者名や題名などを記したキャプションよりも、作品が手前にくるよう展示してきたのもそうした意図が込められていますが、今回は鑑賞者ご自身で絵画を観ることの意味をこれまで以上に積極的に発見していただくことでした。
 そしてもうひとつの願いは、近現代のさまざまな傾向の作品を前に、絵画は人にとってどんな存在なのかを改めて考えてみる機会となることです。南アフリカのブロンボス洞窟で7万5千年前と推定される模様のような線刻が発見されたように、描くという行為は、文字の誕生よりもはるか昔からなされてきました。絵画が何のために描かれ、これからどこに向かうのか、本展覧会を通して鑑賞者の方それぞれが思いを巡らすきっかけとなることをめざしました。参加型要素を加えた具体的な試みとしては、作品などについての感想や、一番好きな作品を参加者が付箋に書いて館内に掲示し、寄せられた感想は会場内で閲覧できるほか、特設ウェブサイトにて公開しました。
 夏休み期間を含んだ本展では、親子連れや若い世代の入場者がこれまで以上に増えました。絵画を各自の感性と経験を動員して探索するという能動的な参加型企画がこうした世代に響いたものと思われます。

■会期中のイベント(参加は無料ですが、入館チケットが必要です。)
◎学藝員によるミュージアム・トーク
2024年8月4日(日)、2024年9月22日(日)
いずれも午後2時から約30分 事前申込不要

◎学藝員による絵画のお話スライド・トーク
展示室にて絵画のよもやま話に花を咲かせます。毎回異なる内容となります。
2024年9月8日(日) ①第11回 博物館概論1
2024年10月12日(土) ②第12回 絵画材料学 顔料と接着剤2
いずれも午後2時から約40分 事前申込不要

■関連記事等
1.新聞
・「題名や作者知らず感性で絵画鑑賞を」中日新聞(広域三重版) 2024年8月7日
・「先入観なく鑑賞を サイトウミュージアムで『題名の無い絵画展』夕刊三重 2024年8月22日
・「『?』マークは何を意味する⁇ 『サイトウミュージアム』の謎の絵画展へ行ってみました☆」号外NET 松阪市 2024年8月15日発信
・(中日新聞)2024年7月30日 田中善明「藤島武二『日の出(海)』まちなかで絵と遊ぶ94」
・(中日新聞)8月6日 田中善明「須田国太郎『ダリヤ』(まちなかで絵と遊ぶ95)」
・(中日新聞)8月13日 田中善明「久野真『鋼鉄による作品 #297』(まちなかで絵と遊ぶ96)」
・(中日新聞)8月20日 田中善明「深沢紅子『少女像』(まちなかで絵と遊ぶ97)」
・(中日新聞)9月2日 田中善明「河合新蔵『糸紡ぎ』(まちなかで絵と遊ぶ98)」
・(中日新聞)9月9日 田中善明「マックス・エルンスト『DENT PROMPTE』(まちなかで絵と遊ぶ99)」
・(中日新聞)9月30日 田中善明「伊藤久三郎『無題』(まちなかで絵と遊ぶ100)」
・(中日新聞)10月7日 田中善明「戸張孤雁『玉乗り』(まちなかで絵と遊ぶ101)」
・(中日新聞)10月21日 田中善明「サム・フランシス『ミシェル・ウォルドバーグ《天空の詩》より』(まちなかで絵と遊ぶ102)」

・(夕刊三重)8月3日 田中善明「境界をどう描くか(学芸員による絵画のはなし38)」
・(夕刊三重)9月7日 田中善明「作品の評価はどこから?(学芸員による絵画のはなし39)」
・(夕刊三重)10月5日 田中善明「どのように終えるか?(学芸員による絵画のはなし40)」

2.TV
「ええじゃないか -いい旅いい発見-」三重テレビ放送 10月21日(月)19:00~

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